5/7 ドイツ語の聞き取り方を考えてみる

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ドイツ語の聞き取りができない!

語学学校の授業でもC1レベルになって、少しづつだけど語彙力も増えてきている。
(しかし、ぼくは簡単な言葉で説明できる能力に長けているようで、意識して新しい言葉を使わないと、すぐに忘れていく。これは要注意事項)

さて、まだ問題なのは、「聞き取り」の面。

語学学校の教師や外国人が話すドイツ語はほぼ理解できる。

けれども、ドイツ人が話すドイツ語とニュースのドイツ語はまだまだ意味不明になりがち。

「外国人だから、語彙力が足りないし、仕方がない」と語彙力のせいにして片付けてみるのも、知恵負けしてしまう気がする。

ここは、言語分析でもって聞き取りの練習をしていきたいところ。

どんなドイツ語で、どんな風に意味不明になりやすいか?

まずは「聞き取りたい」ターゲットを絞ることにする。

本当ならば、「ぜんぶ」と行きたいところだが、ぼくの能力では限界がある。

少ない時間で効率的に勉強していくためには、ターゲットを絞るしかない(分析と新規事業の基本でもある)

まずは「ニュースのドイツ語」にターゲットを絞ることにした。

一週間ほど、ニュースドイツ語にターゲットを絞って、聴き続けてみて、次の傾向を見出した。

  • 喋りスピードは大きな要因ではない。
    • 早いスピードのドイツ語でもしっかり理解できる場合がある。
    • そこまで早くなくとも意味不明になる場合もある。
  • 女性ナレーターのドイツ語の方が理解しやすい傾向にある。
    • 男性ナレーターはもごもご喋る印象。
    • 女性ナレーターの方が発音がはっきりしている傾向がある。
  • 理解不能に陥る原因は3つのレベルがある。
    1. 単語を聞き取れない
    2. 文境界を識別できない
    3. 頭の中で統語解析ができない(構文木を作れない)

どうやら、ぼくの理解はナレーターに依存することが多いらしい。これはぼくの制御できる範囲を超えているので、どうしようもない。

それでは、ナレーターに非依存でぼくが努力できることは何があるだろうか?たぶん、下の3つだろう。

  1. 単語を聞き取れない
  2. 文境界を識別できない
  3. 頭の中で統語解析ができない(構文木を作れない)

このうち、特に「2. 文境界を識別できない」を克服できれば、理解できる範囲は広がると考えた。

「1.単語を聞き取れない」はすぐにはどうしようもない部分がある。日本語はヨーロッパ言語と比べても音の種類が少ない。聞き取れない音は少しづつ努力していけばいい。

「3. 頭の中で統語解析ができない」の最大の原因は「2. 文境界を識別できない」にありそう。

文の区切りがわからず、ダラダラと音が聞こえてきたら。。。そりゃあ、構文を理解することはできないだろう。

そんなわけで、「文境界を識別できるようにする」という目標にしてみた。

なんで文境界がわからない?

実はある程度の仮説はすでに持っている。

ドイツ語ニュースキャスターの中には「文と文の境界に間をおかずに話す」キャスターが一定数いる(感覚では6割程度)

ぼくの脳は、間がない限り1文であるかのように認識してしまう。

その結果、どこまでも1文が続いているように聞こえて、とたんに脳の記憶メモリーが爆発してしまう?

対処法はおそらく「動詞を聞き取れること」にあるだろう。

ドイツ語は構文的にはおもしろい言語で、動詞の出現位置パターンはおおむね3通りある。

  1. 本動詞が2番目の句に出現するパターン(Hauptsatz)
  2. 助動詞が2番目の句に出現し、本動詞が文の最後の句に出現するパターン(Hauptsatz)
  3. 本動詞 / 助動詞の順に文の最後に出現するパターン(Nebensatz)

一見すると、動詞が2番目の句なので、英語っぽく見える。

が、しかし他のパターンでは動詞(というか述語)が文末になることから、「深層意識では日本語と同じ構文が生成されているのでは?」という説もある。ドイツ語の深層構文について

話は少しそれた。

言いたかったことは「動詞をしっかり聞き取りできれば、動詞の出現で文末として認識できるのは?」ということだ。

検証してみた

ここにドイツの「ニュース9」みたいな番組Tageschauがある。ありがたいことに、公式字幕がついている。

このビデオで聞き取り方の検証をしていきたいと思う。

一人目のナレーター

一人目のおっちゃんは、スピードは遅めで文境界にしっかりと間を置いてくれている。

ありがとう、おっちゃん!みんな、おっちゃんみたいな話し方をしてくれるとぼくはうれしいよ。

二人目のナレーター

まず、二人目の女性ナレーターは、文境界がわかりづらい。

文字に書き起こしをしてみる。

Die Perfekte Geschenkidee für Ostern. Schaufensterwerbung, die ihren Käufer nicht finde wird. Shoppen…

  • Ostern. Schaufensterwerbungの間には、文末区切りがある。
  • finde wird. Shoppenの間にも、文末区切りがある。

しかし、このナレーターはほぼ間髪いれずに次の文を始めている。

おそらく"finden wird"(受動態の助詞)が文終端記号を示しているから、あえて間を開ける必要がないということだろう。

für Osternの後には、少し間を置いてほしい。このナレーターの間の置き方だと、カンマなのかピリオドなのか、判別しづらい。

同じナレーターでも、カンマではかなり意識して間を置いている様子。

Maskenpflicht ja oder nein, Laschet sieht sie für ganz Deutschland nicht. Markus…

Maskenpflicht (間) ja (間) oder (間) nein (間), Laschet … となっている。

おそらく、文の途中に直接引用の句が発生したので、わかりやすくするために意識的に間を作ったのだろう。

ganz Deutschland nicht. Markusの間には文末区切りがある。しかし、ここではやはり間を置いていない。"nicht"の出現で、「文末」と宣言できているということだろう。

三人目のナレーター

三人目の男性ナレーターも「文をつなげて読むマン」だった。

特にこのスクショの部分はかなりキツイ。

Das war einmal. Bei Porsche wird…

war einmalとBeiの間にはほとんど間がない。

einmalは動詞ではない。また、Beiも文頭以外にも出現できる前置詞。

ここで、文区切りを認識するのは、ぼくにとっては難しいだろう。

結局、どれくらいの割合で区切らないマンだった?

ナレーターを「区切るマン」と「区切らないマン」で分別してみた。

基準は「音の間だけを聞いて、文境界が認識できること」。

下のようになった。

  • メインキャスター 区切る
  • ナレーター1 区切らない
  • ナレーター2 区切らない
  • ナレーター3 区切る
  • ナレーター4 区切る
  • ナレーター5 半々
  • ナレーター6 区切らない
  • ナレーター7 区切らない

区切らない人は5.5人 / 8 = 0.68。どうやら、ぼくの感覚値はけっこういい線いってたようだ。

結局、どうやって聞き取る?

検証してみると、動詞だけでなんとかならない部分もあって、けっこうヒイた。

こういう部分は意味理解も同時にしないとキツイだろう(NLP的には同時学習のタスクにあたる)。

そこまで脳が動かないので、まずは動詞の出現で文区切りを認識できるように努力していこう。