重箱のスミをつつくような人って何なのだろう?

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以前、ドイツ人Aくんの話をとりあげた。

今回もAくんとのやり取りの中で、自分も反省することがあったので記事を書いていく。

Aくんはいつも問題提起をしたい

Aくんの話はわかりづらい。前は、「ぼくのドイツ語が十分なレベルではないから」だと思っていた。

で、ぼくはドイツ語をC1レベルで学習しており、1部のドイツ人の話をほぼ理解できるようになってきたこの頃。依然として、Aくんの話はわかりづらい。

Aくんの話すドイツ語は聞こえている。言っている意味もなんとなくわかる。

で、「なんでこいつはこの話をしているのか?」とわかりづらい。つまり、話の脈絡を掴みづらいのだ。

最近になって、1つの仮説が出てきた。それは「Aくんはすごい細かいことで『ネガティブな問題提起』をしまくりたい」人なのだ。

一つ例をあげよう。食事時の小さな会話なので、特に意味はない。そういう会話だ。

  • ぼく「そういえばね。ETFのことで面白いことがあったんだ。アメリカ市場の株式値段が今週はものすごく下落したんだよ。例えばね、アマゾンの株式価格は2,200€から2,000€まで下がったんだ。その理由というのがね、アメリカの失業率が発表されたからなんだよ。それで、株式が影響を受けたみたいだね。」
  • Aくん「アメリカの失業率は問題だ。きっと、これからも失業率は悪くなる一方だろう。レストランなどの小さい規模のビジネスはロックダウンが解除された後も、客足は戻ってこない。」
  • ぼく「(ん?なんでこいつ失業率の予測の話してるんだ??ぼくは株式の影響の話をしているんだけど)そうだね。だけれど、アマゾンはその日のうちに2,100€まで値段が戻ったんだ。専門家は失業率がもっと悪いと考えていたけど、失業率は予想されていたよりまだマシだったみたいだね。それでアマゾンのようなIT巨大企業は回復が早かったんだね。」
  • Aくん「しかし、小売店の売上問題は無視できない(のようなことを言っていた。たぶん)。考えてもみよう。人々はすぐにロックダウンが解除された後に外出したいわけがない。それで、一度、遠ざかってしまった人々はもう戻ってこない。それで・・・」
  • ぼく「ちょっと待って。それは失業率の予測の話?ぼくはアマゾンの株価の影響のことを言っていたんだけど。株価の話とどう関係があるの?株価は現にすでに回復しているんだよ。」
  • Aくん「アマゾンの問題は、アマゾンの売上構造にある。アマゾンの売上のほとんどはインターネットコマースで(以下、略)」
  • ぼく「(なんでアマゾンの問題の話してるんねん・・・・。もう頭がおいつかんわ・・・。)」

Aくんは対話の中で、口癖のように「~の問題は」(es ist problematisch, ….)を発言する。

これはぼくとの会話に限らず、他の人との会話でも同じだ。

残念なことに、Aくんが口にする「~の問題は」は、本題から逸れていることが多い気がする。

これもぼくとの会話だけではない。会話逸脱のおかげで、「Aくん+誰か+ぼく」の会話で、ぼくには会話の意味がわからなくなる。

それは、ぼくが理解している文脈と、Aくんが問題提起していることがズレているからだ。と思う。(ぼくの理解が間違っているときもある。まぁ、外国人だからしゃーない。)

ちなみに

ぼくが言いたかったことは端的にこれだけだ。

  1. 失業率発表と株価が大きく連動してることに気がついてなかった。
  2. ぼくは発表直後に株を買っておくべきだった。
  3. 失敗したね。もっと勉強が必要だな、と思ったよ。

そこから話が広がればいいと思って、話題を投げたことは認める。

しかし、すんごい細かいことで問題提起をされていては、ただの会話が「わけのわからない議論」になってしまう。

問題提起しまくりたい人の正体は何なのか?

どうもこれなんじゃないだろうか?と感じる。

確かに、Aくんは知識を豊富に持っている。よくニュースも見ている。

それはすごい。でも、細かいことで「問題提起」をしまくるのは、「会話の破壊をして、自分の知識を出しているだけ」に過ぎない気がする。

拡大解釈かもしれないが

そういえば、最近はこんなビデオを見た。

要するに「質問に答えてないこと」が「人をイラつかせる」という話。

まこなり社長は「質問に答えてない人」のことを「相手の質問よりも、自分の言いたいことを優先させてしまっている人」と言っている。

Aくんも、同じなのではないだろうか?

ここから学べることはなんだろう?

誰かの話を聞いている時に「あ、その話を知っている!おれも言いたい」となること。誰にでもあると思う。ぼくだってそうだ。

きっと、こう思っているとき、根底ではAくんと同じく「自分の知識を出したい」と思う自分がいる気がする。

そういう時はどうすればいいのだろうか?

おそらく「相手の話を最後まで聞く」が正解だと思う。

会話は、知識の出し合いっこが目的ではない。会話は誰を理解するための道具である。

この前提にたつと、相手の話を最後まで聞いて、自分の知識が話を拡大させると思えば、自分の話をすればいい。

自分の知識の話をするときは「そうなんだ。トピックAのことね。その話だと、ぼくも似たことを知っていてね」くらいの前置きをつけてあげるといいだろう。

そうすると、相手は、「何の話をしているのか?」と文脈を理解しやすい。

自分の知識が、相手の話の一部分でしかない場合は、流してしまってもいいだろう。

どうしても知識を話ししたいときは「そうなんだ。トピックAのことね。トピックB(トピックAの中で出てきた情報)のことといえばね。ぼくはおもしろい経験をしたことがあってね。」と少し感情を添えてあげると良いだろう。

感情を添えてあげることで、相手には「どうしてこの人は別のトピックの話をしたいのか」とすんなり理解できる。

と、下の書籍に書いてあったような、書いてなかったような。

ぼくは、こうした会話の仕方をできているだろうか?たぶん、できていない。

おそらく、英語とドイツ語ではなかり整理して、こういう会話ができている自己評価できる。

しかし、日本語となるとおそらく、ぼくの「自分の知識を出したい自分」が出てしまうだろう(最近、日本語をまったく話していない)

そんなことを思った。

ちなみに会話の続き

  • ぼく「OK。きみはアマゾンの売上構造の話をしているんだね。それで、アマゾンの株を買うことのリスクは何だと思うの?」
  • Aくん「インターネットコマースが(なんらかかんたら。よくわからなかった。)で、アマゾンが独占している。」
  • ぼく「えっと、アマゾンが独占をしていると何が問題なんだい?もしかして、アマゾンの売上のほとんどがインターネットコマースだから、それがリスクなのかい?」
  • Aくん「そうだ。インターネットコマースは他の強豪が出てきたら、シェアが縮小してしまう。それがアマゾンのリスクなんだ。」
  • ぼく「確かに理屈ではそうかもしれないね。しかし、5年くらいの短期間で、アマゾンに匹敵する強豪が出現する可能性はどれくらいあると思う?ぼくは、そんな可能性は限りなく低いと思う。そりゃあ、20年もすればシェアは変わるだろう。でも、5年でアマゾンの経営が傾くほどの競合が出現しないと思う。」
  • Aくん「(黙ってスマホいじる)」

Aくんが発言したことをつなげると、要するにこうなる。

「アメリカの失業率は悪い。これからも悪くなる。アマゾンの経営構造には問題がある。アマゾンは市場を独占している。他の強豪が出てくると、アマゾンの経営は傾く」

要するにネガティブな見通しを言いたかったようだ。

特に、コロナ時期に入ってからは、Aくんのネガティブ見通しは依然よりも格段に増している。ロジックとしてはめちゃくちゃに感じる。

こうもネガティブなロジックを引き続き聞いていると、「こいつはネガティブな見通しだけしかできない奴だ」という先入観ができてしまう(少なくとも、ぼくのAくんへの見方はすでにそうなっている)

これはぼくの反省事項。人間、いつも同じということはない。時には違うこともある。